Penbagsの「MONOシリーズ」では、国内有数の帆布の名産地である滋賀県高島市で生産されたブランドオリジナルデザインの4号帆布生地、通称「MONO」を使用しています。
Penbagsデザインチームの強いこだわりと機屋の技術力があってはじめて実現することが出来たこの帆布生地は、もはやブランドのアイデンティティそのものです。
ここでは、Penbagsのオリジナル帆布バッグ「MONOシリーズ」の魅力を知っていただくため、この特別な生地のコンセプトや生産風景を一部始終ご紹介いたします。
■"A story of MONO" (プロモーションビデオ)
■Penbagsが求めたもの
Penbagsの特徴である、質素が持つ「美」を追求したシンプルなデザイン。
シンプルとはつまり「最小限が生み出す万能さ」である様に感じます。魅力的でシンプルなバッグを作る為に必要なピースは何かを考えた時に行き着いたのが、シンプルなデザインであるがゆえに押し出される生地の質感の重要性でした。
どんな服装にも合うように、緯糸に黒を用いてモノトーン色に。美しいバッグのシルエットを保つために、強固に紡いだ糸で織り目をぐっと詰めてハリを持たせる。そんな生地を探し求めた果ての結論が「オリジナルの生地を織る」という事でした。高島の職人の協力により、目が細かく、バッグが自立出来るほどのハリを持ち、耐久性もさることながら見た目の高級感が格段に違う、理想の帆布を生み出すことが出来たのです。
■なぜ、オリジナル帆布なのか?
先ず大前提として述べなければならないのが、このオリジナル帆布は一般的に出回る様な生地ではないという事です。その理由は大きく3つあります。
一に、一般的な普及帯の生地がエアジェットと呼ばれる高速・量産・低コストに特化した織機によって生産されており、4号帆布のように糸が太く厚い生地を織る事が出来ないという事です。現在では国内の多くの機屋が自社設備を大量生産に適したエアジェット型にシフトしており、厚みのある生地を織ることが出来るレピアやシャトルなどの旧式織機を持った機屋が少なくなっています。
二に、このオリジナル生地はPenbagsの「目が細かく美しく、その上でハリを出す」という要望を満たすため、生産可能な限界ギリギリまで糸の本数を増やして生地の密度を高めています。織機の限界に挑む生産仕様の為、喜んで対応してくれる機屋はあまり多くありません。
三に、このような厚くハリがあり丈夫かつ目の細かい生地は針が通りづらく、量産における縫製では生産性が低い為、あまり好んで使われることはありません。
これら三つの理由の通り、ファストファッションが市場を大きく占めている現在において、Penbagsが求めているものはそれに逆行するものに他なりません。
そんな中、Penbagsのデザインチームは手間をかけてもこだわりを実現することに大きな価値を見出し、シンプルなデザインと共に永く愛用できるクオリティを皆さんにお届けする事に意味を求めています。
その為に、ブランドのオリジナル帆布生地を作る事は必要不可欠でした。
■機屋のこだわり
この生地を織っている滋賀県高島市の機屋は創業半世紀以上経つ老舗です。この生地を織る為に使用している織機はレピアと言い、同じく半世紀近く現役で活躍しているものです。現在すでに国内でレピア織機を製造している工場は無く、現存するものをしっかりとメンテナンス・修理することで今も使い続けています。
ファストファッション業界からの大量の受注に対応するため、より量産に適したエアジェット機へとシフトする機屋が多く占める中、「レピアでないと織れない複雑な仕様の生地や質感、また、お客様ごとに異なるこだわりのある要望に応えるため。」と、レピア機が初めて市場に登場した約半世紀前に造られた初期ロットの機械を今でも大切に使用しています。
この老舗創業者の強いこだわりがあったからこそ、Penbagsオリジナル帆布はこの世に産声をあげることが出来ました。
■Penbagsオリジナル帆布「MONO」が出来るまで
織物の製造は、”撚糸 → 糸染め → 整経 → 整織” となります。
これら工程を全て経て「MONO」は仕上がります。
①撚糸
1本の糸では細く強度が無いため、糸を複数集めて撚ることでその強度を高めます。Penbagsの求めるハリがあり丈夫な生地は、すでにここから始まっていると言えます。
②糸染め
「MONO」は緯糸に黒の染め糸を使用することで、独特のモノクローム感を出しています。先染という工程で、撚糸で仕上げた生成りの糸を黒に染めています。
③整経
経糸の準備を行う工程です。原糸を必要本数(数百~数千本)、必要な長さに巻きとる製織の前準備となります。
④製織
整経された経糸に緯糸をセットして一枚の布として織り上げる工程です。
レピアと呼ばれる棒状の矢を使って緯糸を挿入する織機で、左右から中央に矢が向かっていき緯糸を受け渡し織り上げていきます。「湿度が高い日は機械の調子が良い」という、まるで生き物のような機械のコンディションを見極める職人の経験と知恵が生み出す生地が完成する瞬間です。
■確かな品質がもたらすもの
イタズラに耐久性や高品質を謳うのではなく、何故そうあるべきかを考えた上で製品をデザインし、作成することが重要だと思います。
「長く愛される価値あるもの」とは何か? それは作り手のこだわりと使い手の理想が合致した時に生まれる価値感と、長く使い続けることで芽生える特別な感情が象形された「もの」の様に感じます。
また、愛する物を長く使う事こそが究極のエコであると考え、それを実現すべく「確かな品質」にこだわりを持っています。
Penbagsでは、これからも愛されるデザインとストーリーを作品に込めて、長く愛されるものを生み出す「ものづくり」をお届けしていきます。
※今回ご紹介したオリジナル帆布生地「MONO」を使用して造られたバッグの全ラインナップは こちら からご覧いただけます。